南洋新報
遂行者:drunker
作戦名:提督の決断3(SS)
   シナリオ3ミッドウェイ海戦



昭和十八年一月一日
ハワイ基地、奇襲さる
【ハワイ發十二月三十一日至急電】三十一日二十時、ハワイ基地は米航空機十八機の奇襲を受けたが、航空隊の奮戰により全機撃墜した。ハワイ周邊の哨戒任務に就いていた第二及び第五艦隊は、折りしもこの日は寄港待機中であった。わが方の油斷を突かれる形での奇襲であり、正月氣分すら漂いつつあった當地では一氣に緊張が高まっている。目下、敵機動部隊の所在を掴むべく全力で索敵中。


[駐赤城(在ハワイ沖)情報部酒粕大尉發三十一日・祕匿電・軍令部以外ノ閲覽ヲ禁ズ]
敵ハ空母三隻ヲ有スル米第二機動部隊ト判明セシモ、夜間ノタメ以前所在ハ不明。急ギ出港シタ第二及ビ第五艦隊ノ索敵活動モ成果無シ。今囘ノ空襲、不明ナ點多シ。ろさんぜるす沖デハ第九潛水艦隊ガ哨戒活動中ナリシモ、同機動部隊ヲ發見セズ。現在、原因ヲ究明中ナリ。


昭和十八年一月二日
ハワイ基地またも空襲。基地に若干の損害
【赤城(在ハワイ沖)發一日】ハワイ基地は一日正午、米機動部隊所屬の航空隊に空襲された。前日とはうってかわり本格的な空爆隊であり、その機數は計二百十六機の大編隊。しかし、ハワイ基地は着々と要塞化が進められており、航空隊の練度も十二分。たちまちのうちに百十七機を撃墜し、退散させた。また同二十時、二十機からなる第三次攻撃があったが、これを一蹴した。わが方の損害は極めて輕微なり。


[駐赤城(在ハワイ沖)情報部酒粕大尉發一日・祕匿電・軍令部以外ノ閲覽ヲ禁ズ]
今次ノ空襲ニヨル損害ハ次ノ通リ。砲臺二十八門、守備隊三部隊、直掩機二機。要塞度ノ低下ガ懸念サレルナリ。敵ノ所在、未ダ不明。


昭和十八年一月三日
ハワイ基地及び方面艦隊、
敵第二機動部隊を捕捉殲滅

【赤城(在ハワイ沖)發二日】ハワイ基地は二日早朝、米第二機動部隊航空隊の第四次空襲を撃退した。敵は計百十二機からなる大編隊であったが、ハワイ航空隊は獅子奮迅の要撃を加え六十六機を撃墜した。これにより基地に若干の損害が出た。しかし同七時、ハワイ基地はついに敵第二機動部隊の索敵に成功、これを捕捉した。すぐさまハワイ航空隊五百七十九機が出撃。敵直掩三十九機を瞬く間に撃墜し、猛禽のごとく敵艦隊に襲いかかる。猛攻一時間、正規空母三隻(ギルフォード、バンカーヒル、フランクリン)、重巡二隻(ポートランド、アストリア)、輕巡一隻、驅逐艦十隻、輸送船16隻を撃沈。揚々たる戰果を擧げ、歸還した。續き同九時、わが第二航空基幹艦隊航空隊二百九十二機がこれに猛爆を加え、輕巡三、驅逐艦五、輸送船五を撃沈。米第二機動部隊は壞滅した。なお、同部隊司令官ロックウッド少將の死亡が確認されている。本海戰は第四次ハワイ沖海戰と命名された。


[駐赤城(在ハワイ沖)情報部酒粕大尉發二日・祕匿電・軍令部以外ノ閲覽ヲ禁ズ]
ハワイ基地第二艦隊
砲臺四十一門
守備隊七部隊
直掩機十機直掩機十機
今次戰鬪ノ結果、ワガ軍ノ損害ハ右表ノ通リ。
戰果ハ明ラカニワガ方ニアルモ、スベテ後手後手ニ廻ッタ理由、不明ナリ。ワガ方ノ索敵能力、敵ニ劣リシコト認ムルベキナリヤ。敵韜晦航路、甚ダ巧ミナリ。哨戒艦隊ヲ増強スベク、第三及ビ第四艦隊ノはわい囘航ヲ要請ス。


昭和十八年一月五日
防空高速輕巡四隻、竣工
【呉發四日】海軍呉港にて輕巡洋艦『九頭龍』『四萬十』『黒部』『石狩』が竣工した。これは、最新鋭の九頭龍型防空高速輕巡洋艦の一番艦から四番艦までで、現在ベンガル灣にて哨戒活動中の第六高速輸送艦隊に編入される豫定。竣工式後、さっそくラングーン港に向け出港した。なお、輕空母『千歳』もこの日竣工した。『千歳』は現在日本海で洋上演習中の第十豫備艦隊に加わり、その後、ハワイ方面艦隊に合流する豫定。


昭和十八年一月七日
ロス沖にて米第二機動部隊を雷撃
【ハワイ發六日】わが第九潛水艦隊はロサンゼルス沖にて、歸港途中の米第二機動部隊殘存艦艇を襲撃。酸素魚雷の一齊雷撃により、驅逐艦二、輸送船二を撃沈した。第九潛水艦隊は初期の哨戒海域よりもさらに米太平洋岸に接近し、哨戒任務にあたっていた。


昭和十八年一月九日
マドラス猛爆
【大本營陸軍部發表(午前六時)】わが軍は本八日午後六時、英マドラス基地への猛爆を開始せり。


[ハワイ情報部酒粕大尉發十二日・祕匿電・軍令部以外ノ閲覽ヲ禁ズ]
本日午後、第四巡洋艦隊オヨビ第九潛水艦隊ガはわいニ到着セリ。第九艦隊乘組員ニ於イテハ疲勞甚ダ激シキ爲、一週間程度ノ休養ヲ要ス。第四艦隊ハ補給後、直チニ哨戒活動ニ就ク豫定。


昭和十八年一月十三日
マドラス第三次空爆
【大本營陸軍部發表(午後一時)】わが軍は本十二日午前九時、英マドラス基地を猛爆せり。敵砲臺及び守備隊に多大なる損害を與えり。


[ハワイ情報部酒粕大尉發十七日・祕匿電・軍令部以外ノ閲覽ヲ禁ズ]
本日早朝、第十豫備艦隊ガはわいニ到着セリ。直チニ第七豫備艦隊ニ編入、同艦隊名ヲ第七遊撃艦隊ニ變更セリ。補給後、はわい沖デ展開中ノ哨戒任務ニ合流スル豫定。


[駐ハワイ情報部酒粕大尉發二十日・私信・準祕匿電扱・情報部檢閲濟]
いよいよマドラス陷落も近そうで嬉しく思う。英軍機相手ならまだまだ零戰も無敵のようだな。ところでくれぐれもコロンボだけは殘しておいてくれよ。あと三ヶ月で高速艦隊計畫に基づくすべての艦隊が整う豫定だ。せっかくの高速艦隊の活躍の場がなくなると困る。コロンボは演習場には最適だと思うのだ。


[ハワイ情報部酒粕大尉發二十一日・祕匿電・軍令部以外ノ閲覽ヲ禁ズ]
はわい沖哨戒中ノ第七遊撃艦隊ガ水上電探デ敵艦隊ヲ發見セリ。夕刻ノタメ詳細不明ナリ。第二艦隊オヨビ第五艦隊ハ、コレヨリ要撃ノタメ出港ス。


昭和十八年一月二十四日
マドラス基地灰燼に歸す
【大本營陸軍部發表(正午)】わが軍は本二十三日午前十時、英マドラス基地への第八次空爆を敢行。猛爆により敵砲臺及び守備隊を全滅せり。續きデリー陸戰隊が同基地に進軍中。


昭和十八年一月二十四日
ハワイ沖にて米空母一擧五隻撃沈!
【赤城(在ハワイ沖)發二十三日】二十三日十七時、わが第四巡洋艦隊は、ハワイ接近中の米第一機動部隊を捕捉、砲雷撃戰を敢行し、空母五撃沈をはじめとする大戰果を擧げた。 軍令部により第五次ハワイ沖海戰と命名された本海戰における米軍の損害は次の通り。正規空母一(カロリン・アイランズ)、輕空母四(ガーディアン、バドエン・ストレイト、ソシエテ・アイランズ、コンステレーション)、重巡二(チェスター、ルイスビル)、輕巡二、驅逐艦三、輸送船九。各空母は艦載機を滿載していたが、計二百三十六機が艦とともに沈んだ。米第一機動部隊らしき艦隊は先二一日夕にわが第七遊撃艦隊にてその存在が報告されていたが、折りからの荒天でその發見が遲れていたもの。第四次ハワイ沖海戰を教訓に、今囘は複數の艦隊が廣い海域にわたって哨戒活動にあたっていた。なお、同機動部隊の殘存艦艇は作戰を中止し、米本土に撤退した模樣。


昭和十八年一月二十五日
マドラス占領
【大本營陸軍部發表(午前六時)】わが軍は本二十三日午後十一時、英マドラス基地を占領せり。


昭和十八年二月二日
新鋭高速重巡四隻竣工
早地峰型重巡洋艦の主な性能
主砲二十.三サンチ連裝砲四基
高角砲九十九
機銃九十五
魚雷管四連裝發射管二基
爆雷裝置あり
速度四十キロノット毎時
耐久度四十
艦載機
【呉發一日】一日八時、呉港にて新鋭重巡洋艦が四隻竣工した。これは砲戰能力よりもむしろ防空性、高速性を重視して新設計された早地峰型重巡洋艦の一番艦から四番艦である。それぞれ『藏王』『大雪』『白馬』『富士』と命名された。堅牢な高速防空艦として期待されている。四隻は高速艦隊としての編成が豫定されている第六艦隊に合流するため、竣工式後、直ちにラングーン港に向かった。なお當日は千歳型輕空母二番艦『千代田』及び吾賀野型輕巡『能代』も竣工しており、こちらは第七遊撃艦隊に合流するためハワイへと出港した。


[ハワイ情報部酒粕大尉發八日・祕匿電・軍令部以外ノ閲覽ヲ禁ズ]
米國ガ既ニ暗號解讀機ヲ開發濟ミトノ確カナ情報ヲ得タリ。ワガ方ノ作戰、スベテ敵側ニ傳ワリシモノトシテ對處スベシ。


昭和十八年二月十六日
新鋭高速空母及び超弩級戰艦、堂々竣工
【呉發十五日】十五日八時、呉港にて新鋭正規空母『紅鶴』『蒼鶴』、及び新型超弩級戰艦『美濃』が竣工した。『紅鶴』『蒼鶴』は搭載機數と高速性及び防空性を重視して新設計された紅鶴型防空高速正規空母の一番艦と二番艦になる。また、『美濃』は防空性と高速性を優先設計した攝津型超弩級戰艦の一番艦。それぞれラングーン港に向かい、同地で第六高速艦隊に編入される豫定。

紅鶴型防空高速正規空母の主な性能
高角砲五十六
機銃
速度四十キロノット毎時
耐久度七十五
艦載機
飛行甲板四十五
攝津型超弩級戰艦の主な性能
主砲四十サンチ四連裝砲二基
副砲四十サンチ連裝砲一基
高角砲八十四
機銃百二十
魚雷管なし
爆雷裝置なし
速度四十キロノット毎時
耐久度九十九
艦載機


昭和十八年二月二十五日
ハワイ沖にて米空母及び戰艦撃沈
【ハワイ發二十四日】二十四日十時、ハワイ沖にて第二艦隊航空隊が米第一機動部隊と交戰、輕空母バンダ・シー、戰艦ニューメキシコ、輕巡ホノルル他、驅逐艦四、輸送船六を撃沈。さらに直掩戰鬪機三十二機を撃墜した。これは、同海域を哨戒中だった第四巡洋艦隊が發見したもの。敵部隊は撤退した模樣。


昭和十八年三月二日
イタリアにて政變! ム頭領失脚
【ローマ發一日至急電】同地での信頼できる情報筋によれば、ムッソリーニ頭領が反ファシストを標榜する集團に拉致・監禁された。集團は新政府を名乘り、事實上政權を掌握している模樣。同集團の首謀者は、元陸軍參謀總長ピエトロ・パドリオ元帥と見られている。新政權は直ちにすべての戰鬪を中止し、連合軍に降伏。我が國及び獨逸第三帝國に對し宣戰布告を聲明した。同國ではアフリカ戰線の結果が思わしくなく、國民の間にも厭戰氣分が高まっていたことから、豫てよりそのム頭領の政治手腕が疑問視されていた。


昭和十八年三月九日
紅鶴型三番艦四番艦竣工
【呉發八日】紅鶴型防空高速正規空母の三番艦『白鶴』、四番艦『玄鶴』が竣工した。兩艦とも竣工式後、直ちにラングーン港に向けて出發した。


昭和十八年三月十四日
新型零戰戰線へ
【東京發十三日】海軍軍令部は、空技厰が開發した零式艦上戰鬪機の改良型機の量産を開始した。新型機は零戰五二型と名づけられ、從來機に比べると攻撃力および防御力に優れている。また僅かながら爆撃能力を備えているのも特徴。


昭和十八年三月十五日
ハワイ沖にて驅逐艦十一撃沈
【ハワイ發十四日】十四日二時、わが第四巡洋艦隊は米第一機動部隊を痛撃し、驅逐艦十一隻、輸送船十一隻を撃沈した。同艦隊では敵機動部隊の存在を先十三日夜に掴んでおり、以來追撃していたもの。


昭和十八年三月十六日
攝津型超弩級戰艦竣工
【呉發十五日】攝津型超弩級戰艦の二番艦『尾張』が竣工した。同艦は直ちにラングーン港に囘航された。


昭和十八年四月三日
ハワイ沖にて空母二隻・重巡三隻撃沈!
【ハワイ發二日】二日十八時、わが第四巡洋艦隊は米第一機動部隊を補足、鬼神のごとき砲雷撃戰を敢行した。この奮鬪により、正規空母一(ブルワーク)、輕空母一(パーマネンス)、重巡三(インディアナポリス、ロアノーク、ジャクソンビル)、輕巡二、驅逐艦二、輸送船八を撃沈の揚々たる大戰果を擧げた。


昭和十八年四月八日
新型航空機、續々登場
【東京發七日】わが陸海軍に最新鋭航空機が加わった。七日新たに生産を開始したのは、天山、飛燕、瑞雲の三機種。海軍の『天山』は九七式艦上攻撃機の後繼機種で、強力なる『護』發動機の搭載により、米國ダグラスTBFアベンジャーよりも高速で航續距離も長い。また武裝も強化されている。『飛燕』は陸軍三式戰鬪機で、なによりもその流麗なる姿が際立つ。わが國初の水冷發動機ハ-40二式を搭載し、武裝も二十ミリ機關砲を二門裝備、防彈性も向上させている。獨Bf109E、米P−40との模擬空中戰において極めて優秀なる成績を收めたことから制式化された。また『瑞雲』は新鋭水上偵察機として活躍が期待されている。


昭和十八年四月十三日
サンタクルーズ占領
【ラバウル發十二日】海軍第七遊撃艦隊は、十二日二十時、英領サンタクルーズを占領した。南太平洋方面には同基地を含め四つの米英基地が殘存しているが、いずれもわが軍の徹底的な兵糧攻めのため、物資・石油とも極端に不足している。サンタクルーズ基地でも石油不足で英航空機は一機たりとも飛び立てなかった。海軍軍令部ではこの南太平洋方面を新規艦隊の演習地として利用することを決定。第七遊撃艦隊が實戰訓練を兼ねて揚陸作戰を實施したもの。


昭和十八年四月二十日
攝津型三番艦四番艦竣工
【呉發十九日】攝津型超弩級戰艦の三番艦『近江』及び四番艦『攝津』が竣工した。兩艦、ただちにラングーン港に向かい、同地で哨戒演習中の第六高速艦隊に合流する。軍令部によれば、これで第一次高速艦建造計畫は終了とのこと。續き第二次建造計畫が開始された。


昭和十八年四月二十二日
エスピリッサント占領。第七艦隊の演習終了
【ラバウル發二十一日】第七遊撃艦隊は英領エスピリッサントを占領した。同艦隊はこれにて同海域での實戰演習を終了、ハワイ港に向かった。南太平洋方面に殘る米二基地は、現在ベンガル灣に展開中の第六高速艦隊の訓練目標となる豫定。


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